藤井聡太王将VS羽生善治九段 棋史に残る七番勝負は8日開幕 第72期ALSOK杯王将戦七番勝負藤井聡太王将に羽生善治九段が挑む第72期ALSOK杯王将戦七番勝負(毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社、日本将棋連盟主催)が、1月8日(日)に静岡県掛川市の「掛川城二の丸茶室」で開幕します。
🔴生中継▶️ https://abema.tv/alsokhai-oushousen/
🔴生中継▶️ https://abema.tv/alsokhai-oushousen/
王将をはじめとする5つのタイトルを手に棋界の中核をなす藤井王将が自身初の王将防衛を決めるか、言わずと知れた将棋界のレジェンド羽生九段が悲願のタイトル獲得通算100期を果たすか。七番勝負を迎えるまでの両者の戦いを振り返っていきます。
両者の過去の対戦と傾向公式戦における両者の対局はこれまで8局あり、藤井王将から見て7勝1敗の成績です。戦型別で見ると、「角換わり腰掛け銀(2局)、横歩取り(2局)、矢倉、雁木、相掛かり、三間飛車(各1局)」という内訳で、相居飛車の定跡形を中心に比較的バランスよく指されている印象を受けます。直近の対局は昨年12月に行われた棋王戦挑戦者決定トーナメントでのもので、角換わり腰掛け銀で先攻した羽生九段の攻めをかわして藤井王将がうまく反撃を決める展開でした。
王将戦に限っていえば両者は2度の顔合わせがあります。まず2020年に行われた王将戦挑戦者決定リーグの将棋は藤井王将(当時二冠)が先手で、横歩取りの展開になりました。この将棋では青野流の攻撃的な布陣を採った藤井王将が自陣に二枚の角を据えて攻めていく展開になりましたが、その間隙を縫って羽生九段が藤井陣に放ったタタキの歩が妙手。この手筋で藤井王将の玉を狭くすることに成功した羽生九段が最後は藤井玉を即詰みに討ち取っています。
続いて2021年の王将戦挑戦者決定リーグの将棋は、先手の羽生九段が矢倉の戦型に誘導。後手の藤井王将(当時三冠)が桂跳ねを急いで急戦の展開を見せたのに応じて羽生九段は早繰り銀の要領で先攻を仕掛けます。戦いが一段落したあとも攻めを続けた羽生九段が一時は形勢をリードしますが、そこで藤井王将が見せた軽い飛車回りが形勢逆転の好手でした。その後、軽快な玉さばきを見せた藤井王将が勝利を収めています。
両者の今期の戦い
藤井王将は今期、叡王戦(対出口若武六段)・棋聖戦(対永瀬拓矢王座)・王位戦(対豊島将之九段)・竜王戦(対広瀬章人八段)の4つの番勝負を戦い、いずれも防衛に成功しています。さらに棋王戦では渡辺明棋王への挑戦を決めたほか、名人挑戦を決めるA級順位戦でも現在単独首位を走る好調ぶりを見せています。今回王将を防衛することになれば年度内の六冠実現に期待がかかります。df
対する羽生九段は今期、勝率4割を切った前年度とは打って変わって好調をキープ(勝率はおよそ6割5分)。棋王戦では挑戦者決定トーナメント準決勝まで進んだ点に加えて、なにより今期の王将戦挑戦者決定リーグではそうそうたる面々(服部慎一郎五段、永瀬拓矢王座、渡辺明名人、糸谷哲郎八段、近藤誠也七段、豊島将之九段)を相手に圧巻の6戦全勝を達成してファンの期待に応えました。今回の七番勝負ではタイトル獲得通算100期に注目が集まります。
なお今年度の戦いにおける両者の戦型選択に着目すると、藤井王将は角換わりと相掛かりが主軸となっており今年度の対局(約40局)における約7割を占めています。また、羽生九段においても戦型選択は同様の傾向にあり、角換わりと横歩取り、相掛かりの3戦型が主軸で合わせて全体(約40局)の約8割を占めています。
まとめここまで見てきたように、両者の将棋では相居飛車の定跡形から先手が先攻する傾向が見て取れます。この点は近年のプロの将棋全体の傾向ではあるのですが、実際にはそのまま先手が攻め切って勝つことは難しく、先手の猛攻に耐えた後手が反撃を繰り出すケースも多く見られる印象を受けます。本シリーズでも両者が矢倉・角換わり・相掛かり・横歩取りという主要4戦型を中心として最先端の定跡と迫力の終盤戦を繰り広げることは間違いないでしょう。
水留啓(将棋情報局)藤井聡太王将に羽生善治九段が挑戦する 第72期ALSOK杯王将戦七番勝負第1局が、1月8、9日(日、月祝)に静岡県掛川市の「掛川城 二の丸茶室」にて行われます。
両者はこれまでに8回対戦があり、藤井王将の7勝1敗です。dfg
王将戦では藤井王将の2勝1敗です。sdf
王将戦七番勝負の模様は、毎日新聞ニュースサイト、将棋プレミアム(※要会員登録・有料)、囲碁将棋プラス、日本将棋連盟ライブ中継でご覧いただくことができます。「王将戦」は、1950年に創設され、翌51年からタイトル戦となりました。
現在8大タイトル戦の中で名人戦に次ぐ歴史を持つ
今期で72期を迎える伝統と格式のある棋戦です。
創設当初は「三番手直り」制で3連勝した場合は次局、
平手でなく駒落ち(香落ち)で対局を行う独自の制度があり、
第4期で大山王将が挑戦者の松田八段に1勝1敗2千日手後に3連勝し、
タイトル戦での「駒落ち」対局が実現しました。gf
規定の回数以上を獲得した場合に与えられるタイトルの永世称号(永世王将)ですが
王将戦は「通算10期獲得」とハードルが高く、
これまで大山康晴・羽生善治の2名のみとなっています。
大山康晴のタイトル保持者としてのsdf
過去最高齢記録(第32期王将戦 七番勝負 出場時の59歳11ヶ月)や、
社会的現象として話題にもなりました羽生善治の
タイトル全冠制覇(当時7つのタイトルを独占/第45期王将戦)も、この王将戦で達成されました。
また、対局終了後や翌日に撮影する写真はインパクトのあるものが多く、
当初から多くの話題と注目を集め、
楽しみの1つとしてファンに親しまれています。
[ALSOK]王将戦に対する想い
将棋の歴史は古く平安時代にはその原型となるものがあったとされており、現在の「将棋」となって以来、駒の動かし方など基本的なルールは変わっていないにもかかわらず、対局者の研究により次々と新たな戦術が生み出され続けています。
あらゆる世代の方に親しまれている将棋は、バランスの取れた「攻め」と「守り」が重要ですが、当社が主業務にしている「警備」の世界も万全な「守り」だけでなく、近年では、人による警備からAIや5G等の先端技術を活用した「攻め」のセキュリティに進化を遂げています。
また、将棋の世界の対局相手に示す敬意や負けた側が自ら宣言する高潔さに、当社創業以来の精神である「ありがとうの心」と「武士の精神」との親和性を感じ、この度の特別協賛に至りました。
当社が特別協賛をさせていただく2021年4月からは、本棋戦に当社の冠が付き「ALSOK杯王将戦」となります。プロフィール
1969年、京都府生まれ。田中魁秀九段門下。1987年、四段(プロ入り)。1998年、九段。タイトル戦登場37回、獲得は名人2期、棋聖6期など計13期で、永世棋聖の資格を持つ。読みの深さから「1秒間に1億と3手読む」「緻密流」と言われる。
2017年2月から日本将棋連盟会長を務める。
日本将棋連盟佐藤康光会長による【王将戦想い出の1局】